ルッキズムを否定するはずが、助長していると指摘され炎上・・・
~問題の背景への理解を深め、真に啓発できる広告へ~
こんにちは!NTTコムオンライン ソーシャルリスニング担当です。今回のnoteでは、ルッキズムを否定するはずの広告で、ルッキズムや外見へのコンプレックスをかえって助長しているとの指摘が多く出てしまった事案を見てゆきたいと思います。
炎上の概要
10/11は「国際ガールズデー」といって、“「女の子の権利」や「女性のエンパワーメント」の促進を広く社会に呼びかける日”とされています。
これにあわせて2024年10月7日、ボディケアブランドが都内の駅にルッキズムを否定する啓発広告を掲出しました。広告には、美しさの基準とされる用語や数値が並び、打消し線が引かれていました。
しかし、一般にあまり知られていない用語なども複数取り上げられており、また、「容姿」とや「ルッキズム」といったセンシティブな話題について背景を語らないまま扱ったことで、かえってルッキズムや外見へのコンプレックスを強めてしまうとして批判が集まりました。
投稿量の推移
投稿量の推移を見てみると、広告が掲載された7日~8日にかけて増加したうえで、9日にピークを迎えています。
広告に関する炎上では、該当の広告が注目された当日~翌日に投稿量のピークが多くみられます。しかし、今回の炎上では広告が注目された2日後に最も投稿量が多くなりました。
SNS上の論調-時間経過によりトピックが拡大-
時間経過による論調の変化は以下の通りでした。
①広告掲出(7日)~翌日(8日)まで
通学中にこんな広告を見たら気分が落ち込む
過激な「美しさの基準」をかえって広めてしまっている
否定や啓発をするならそれをわかりやすく表示するべき(用語の方が強調されたようなクリエイティブだったことへの指摘)
何も知らずにこの広告を見たら、自分の顔はダメなんだと思い込んでしまう
➁翌日(8日)~3日目(9日)まで
企業が扱っている製品と広告の主張が嚙み合っていない
この企業は海外で差別広告を出して炎上したことがある
大手企業に勤める人は美人ばかりだから仕方がない
センシティブな話題を扱っている自覚がない、表面的
ルッキズムを扱っているのに、広告がどんな影響を与えるかを軽視している
用語が生まれた経緯を考慮していない
いつも女性ばかりルッキズムに晒される
①と➁の期間の投稿内容の比較
2つの期間を比較すると、①の炎上当初は広告自体への批判が多く見られました。しかし、広告が社会問題を扱っていることから、次第にトピックが拡大してゆき、②の炎上後半には企業批判やルッキズム自体への批判、さらにはジェンダー格差など、幅広い意見が寄せられました。
今回の炎上では「ルッキズム」というセンシティブな問題を扱っています。個人の心に直結しながらも解決が難しい社会問題として、昨今、啓発や反論が盛んに投稿されています。
もともと、ごく一部の美容やメイクアップへの関心が非常に高い層や、自身の外見にコンプレックスを強く持つ層では、今回掲示された用語が日常的に使用されています。しかし、大半の人々は自身の外見への不満を大きく主張したり言語化したりすることは少ないものです。今回の広告で、その用語が一般的な層の目に入ってしまったことで、かえって幅広い層の人が自身の容姿への不満を認識してしまう、自身の容姿が良くないものだと意識してしまうようになる、との懸念が大きく見られました。
また、自身の容姿などに不満がある人に「気にしないでよい」と語りかけても、日ごろメディアで人気のある女性はいわゆる「美しい」とされる人々が多いことから、実情と乖離していて納得感がない、との声もありました。
外見や身体的特徴についての不満広告、ユーザー心理とリスクを把握するには
今回の炎上では、
影響力の大きい広告でルッキズムの定義を拡散してしまった
ルッキズムを啓発する目的が、製品やクリエイティブと一致しなかった
容姿に不満を持つ層への配慮が行き届かなかった
上記3点がポイントとなります。
ジェンダーなどの問題とも関連しますが、生まれ持った外見や骨格、体質などは変えることが難しい、一度不満を感じれば払しょくすることが非常に困難な要素です。
また、明確な基準を示されることで、「そこから外れているから悪い」と思われかねない問題であり、容姿に悩む人々のネガティブな気持ちを顕在化させてしまいました。
しかし、社会問題を啓発したり、不便や不満の解消を訴えるのは、製品カテゴリーによっては必要な企業活動だと言えるでしょう。
問題への知見とユーザ理解を深める
広告でセンシティブな話題を扱いたい場合、まずは
「社会問題系キーワード」
で、X(Twitter)投稿を収集し、問題への知見とユーザー理解を深めましょう。
※キーワードの例→「ルッキズム」や「LGBT(差別)」「環境負荷」「ハラスメント」など。
今回であれば、上記のようなキーワードを含む投稿を常時監視できれば、どんな解決が求められているのか、どんなことに不満を感じるのかなどを知ることができ、センシティブな問題を扱う上で誰かを傷つけないように検討ができるでしょう。
とはいえ、常にX(旧Twitter)をモニタリングするのは難しいものです。
そこで、各種SNSやニュースサイトなどの投稿をリアルタイムに収集・分析・通知を行うソーシャルリスニングツールの活用をおススメします!
弊社ではソーシャルリスニングツール Buzz Finderをご提供しております。
~Buzz Finderとは?~
X(旧Twitter)のほか、ニュースや掲示板、ブログや各種SNSに対応しており、企業や組織のブランドセーフティを強固にする費用対効果の高いツールです。特にX(旧Twitter)は全量リアルタイム投稿収集により、ネット炎上などへの迅速な対応や、生の声を活用したブランド改善をローコストオペレーションで実現します。
~Buzz Finderでできること~
特定のキーワードを含む投稿の収集(件数の上限あり)
収集したい条件でアラートメールを受信
投稿件数やポジネガなどをグラフ化、一目で把握
前日の注目トピックをレポートとして受信(デイリートピックメール機能)
~よくあるご質問・ご要望~
どんなキーワードを設定したらいい?
どのくらいの投稿を収集できますか?
どんなアラートが設定できますか?
目的別に投稿を抽出したいです! など
導入・運用に不安がある方には、専門スタッフがサポートいたします!
どんなご質問でも構いません。よろしければホームページを覗いてみてください。現在2週間無料で体験頂けるトライアルも実施していますのでお気軽にお申込み下さい!
また、炎上事例集をソーシャルリスクレポートとしてダウンロードいただけるようにまとめました。無料でご提供していますので、ぜひご活用ください!
ではまた、次回のnoteでお会いしましょう!