プロダクト分析(プロダクトアナリティクス)はじめの一歩 ~ワークショップレポート~
こんにちは、コンサルタント宮崎が担当です。
プロダクト分析ツールである "Mixpanel" のリセラーである当社は、プロダクト分析という考え方や手法をどのように広めたらよいかが目下の課題です。
”プロダクト分析” というキーワードは、まだまだ広まっている感は無いのですが、マーケティングアナリティクスの先にあるユーザー行動をトラッキングし、プロダクトの最適化を目指していく分析手法の指すキーワードです。
主にプロダクトの開発から実際にリリースしたあとに、ユーザー行動を把握し、プロダクト改善につなげることを目的に分析ツールを導入することが多いのではないかと感じています。
ただし、分析ツールを導入して「プロダクトの利用頻度は?」「最も使われている機能は?」「コンバージョンまでのジャーニーにおける離脱ポイントはどこか?」などなど、分析して示唆を得たいことを思いつくと思います。
今回の記事では、先日実施したプロダクト分析のはじめの一歩となるワークショップ「成功のためのプロダクトマネージャーのデータ分析方法を実践」の内容と当日の様子をお伝えします。
1.プロダクト分析とは
プロダクトの指標分析で使うフレームワークの話。
(企業やプロダクトを取り巻くデータは、ユーザー属性データ、行動データだけではなく、デバイス情報やコミュニケーションに関わるデータ(メール配信情報やプッシュ通知など)、業界や対象プロダクト特有のデータなどがあると思います)
デジタルプロダクトにおけるデータ分析を2種類に分けて考えると、「マーケティングアナリティクス」と「プロダクトアナリティクス」に分けることができると考えています。
プロダクト分析ツールは「プロダクトアナリティクス」を見ており、画にあるファネル下方を指し、ここはグロースフェーズにあたり、プロダクトをより成長させていくためにどうするべきか?を検討していくための分析を行っていくフェーズです。
一方、ファネルの上方では今までのGoogle Analytics (旧Universal Analytics) などの分析ツールを使って、流入元はどこか?ページの直帰率は?ページのPV数やウェブサイトのセッション数がどのくらいか?を追いかけていくことを目指した内容であったという解説をしました。
2.プロダクト指標分析とは?
いざ、プロダクト分析を行おうと考えたら、まずはどんなイベント指標を見ていくべきかを考えることが”はじめの一歩”です。
プロダクトマネージャーはノーススターメトリクスを定義して、そこへ目指していくということを考えている方が多いと思います。Mixpanel では、ノーススターとほぼ同義の ”フォーカス指標” を置いて、5つのLevel1 指標を構成し、フォーカス指標を目指すフレームワークを提唱しています。
フォーカス指標を構成するバリューモーメントと頻度
フォーカス指標は、ユーザーが最も価値を感じる要素に焦点を当て、さらにどのくらいの頻度でその価値を達成していくかを指標化したものです。
- バリューモーメントとは?
ユーザーにとってプロダクトを利用して最も価値を感じたのはどの瞬間か?です。ファイル共有サービスの例を見ていくと、ユーザーが最も価値を感じるのは、ファイルや写真をシェアする機能だとした場合、この機能の使いやすさなどを改善に取り組めるといったことが考えられます。
- 頻度とは?
バリューモーメントの要素をどのくらいの頻度で行うか?を考えます。ユーザーが頻繁に利用する要素がメッセージング機能であれば、メッセージング機能の使いやすさや機能の充実に力を入れていく、ということを考えていきます。
ここまでを解説したあと、ワークショップでは、その先にある Level 1 と Level 2 の指標の解説へと進みながら参加者の方々に実際に指標を考えてもらいつつ、自社のプロダクトやサービスをイメージしながら取り組んでもらいました。
実際の参加者の声を聞いて回ると、「なかなか設定が難しい」という声や、「なんとなくノーススターメトリクスは持っているが、果たしてそれでいいのか不安」と悩みつつ運用しているなどの声もありました。
3.ワークショップ全体を通しての参加者の声
「もともと基本的な成果指標となるKPIをモニタリングしていましたが、価値の創造や改善がなんとなく抽象的なものになっていました。しかし、今回の手法を使ってみることで、この問題は解決できそうだと感じました。」
「全社で力を入れるべきポイントを明確にする手法を、ぜひ自社でも導入したいと感じました。しかし、すでに全社KPIとして定義されている目標があり、その指標との調整や入れ替えられるものなのかが不安です。」
「サービスを成長させるために有効で大切な考え方だと思った。その一方で理解して使いこなすまでには時間とメンバーの協力が必要でハードルが高いなとも思った。」
ポジティブに受け取ってもらえた評価もある一方、フレームワークそのものの考え方、理解して使いこなすことへの学習コストにハードルがあるという意見もありました。
今回紹介しているフォーカス指標(ノーススターメトリクス)は、実は決めたらずっと目標として見ていく必要は無く、分析や評価を重ねていくうちに、変えてしまっても良いのです。そのプロダクトやサービスを改善していくための最適な指標を常に持っておくことが重要なのです。
今後のプロダクト分析ワークショップ実施予定について
今後もワークショップを開催してきますので、ぜひご興味があればご参加ください。
次回は4月開催予定です!
https://www.nttcoms.com/service/mixpanel/seminar/20240416/